2020
1
Nov

科学

「鉄腕アトム」と日本の”ひとにやさしい”ロボット史

日本は人型ロボットの開発で世界のトップクラス。その要因はいろいろ言われていますが、「鉄腕アトム」がその要因の一つであるのは間違いないと思います。アトムを子どもの頃に見て、ロボット技術者を志すきっかけになったという人の話はよく聞きます。また、欧米では、神が人を創ったとのキリスト教の影響で人の形をしたロボットを創るのは神への冒瀆という考えが根強くあり、多くの人が人型ロボットへの抵抗感がありますが、日本では「鉄腕アトム」により、“ロボット=人型ロボットで人間の味方”という良いイメージが定着していったのも、人型ロボット開発を後押ししたと思います。上の画像は、日本のロボット史で忘れることができない3体です。

「HONDA  ASIMO」
1980年代にHONDAで、”アトムを造れ”という指令のもと秘密裏に開発が始まりました。10年後に突然世界で初めて人型自律二足歩行ロボットを発表し、世界のロボット研究者が仰天しました。その後改良が加えられ、2000年にASIMO が誕生します(その年の紅白歌合戦に、赤と白のツートンカラーで出場していた)。ASIMO はさらに進化し、階段を登り、ジョギングができるようになり、オバマ大統領とサッカーをするまでになりましたが、2018年残念ながら開発中止のニュースが流れました。復活に期待です。
本物は当然手に入らないので、HONDAオンラインショップのアクションフィギュアで我慢?しました。

「SONY  AIBO」
AIBOは、ASIMO 誕生とほぼ同じ1999年、世界で初めて市販された動物型の家庭用エンタテイメントロボットです(ソニーは同時に人型ニ足歩行のQLIOも開発していました)。画像は最初に発売された「ERS-110」、イラストレータの空山基氏による未来的なデザインがとにかくかっこいい。
これは歴史に残る逸品と思い(後年「未来技術遺産」に登録された)、後先考えず購入してしまいました。よく遊んでやると言うことをきくけど、ほったらかすと反抗的な性格になってしまいます。
しかし、2006年にソニーはロボット事業から撤退、2014年修理サポートも終了します。故障しても修理(治療)ができなくなり、死なないペットに皮肉なことに実質的な死が訪れました(その後元ソニーの技術者が修理を引き受けますが…)。
修理出来なくなったAIBOの合同葬が毎年営まれ(まだ元気な白袈裟のAIBO僧 が弔辞を読んで読経)、葬られたAIBO 達は、他のAIBO を治療するためにドナーとなり部品を提供します。(不思議な世界に迷い込んできた)
AIBOの販売終了から12年の歳月を経て、2018年に今度はaiboという名前に変わり新型で復活しました。まだ進化は続きます。

「週刊デアゴスティーニのRobi」
2013年に創刊された「週刊Robi」。週刊で届く全70号に少しづつパーツが入っていて、自分で組み立てるコミュニケーションロボットで、完成までに1年半かかりました。人型ニ足歩行ロボットでは世界で最も売れた製品と言われています。デアゴスティーニは創刊号は激安ですが、2号からは結構いい値段なので、トータルすると分割払いとはいえそれなりの金額に誘い込まれますが、また歴史に残る逸品と思い、また後先考えずに購入してしまいました。
デザインと設計はロボットクリエーターの高橋智隆氏、電池CMでいろんなチャレンジをするエボルタくんでお馴染みですね。200近くの言葉を理解し、話すことができます。(ちなみに声は声優さんでピカチューです)。画像は初版のRobi ですが、その後も進化版が販売されています。

この3体は、どれも人に代わり危険な作業をするとか、重い物を運んだりとかするロボットではなく、アトムの系譜を受け継ぐ人に寄り添う”人にやさしい”ロボットですが、後先考えずに購入してしまう者にとっては”家計に全然やさしくないロボット”です。度重なる出費で家庭崩壊にならなかったことに改めて安堵してます。ごめんなさいm(_ _)m。

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