1960年代、「鉄腕アトム」に続いて多くの“空想科学もの”(まだSFとは呼ばれていなかった)テレビアニメが放送されました。
その一つ「スーパージェッター」は、例の如くざっくり言うと、30世紀のタイムパトロール隊員の少年ジェッターが、時間犯罪者を追跡中に事故を起こして20世紀の日本に投げ出されてしまいます。タイムマシンは故障してこの時代に取り残されてしまいますが、その後国際捜査組織の要請を受けて20世紀の犯罪捜査に協力することになり、進んだ科学技術を駆使して活躍するというお話です。
番組のオープニングは『ぼくはジェッター、1000年先の未来から時の流れを超えてやってきた。流星号、流星号、応答せよ!』 というジェッターのセリフから始まります。流星号とは電子頭脳を搭載し自ら行動することができるエアカー、流星号を呼ぶのに話しかけるのが、腕時計型の通信装置兼タイムストッパー(30秒間だけ周囲の時間を止められる)。当時、腕時計型のおもちゃに『流星号、流星号、応答せよ!』は子供たちの間に流行りました。また、ジェッターは透視できるゴーグルを装備しています。それと空中に浮かんでいるのは、重力を中和することで飛行を可能にする反重力ベルトによるものです。
これら装備は現代で言うウェアラブルデバイスで、腕時計型の通信装置は今はApple Watchに、ゴーグル型デバイスはMicrosoftのHoloLensあたりですかね。Apple Watchはもちろん通信もできますが、倒れた時の「勝手に緊急通報」や健康管理など随分平和的ツールになってます。
同じ頃放送された特撮テレビ映画「ジャイアントロボ」では、音声認識によりロボを操縦します。原作者は「鉄人28号」の横山光輝。どちらも巨大ロボットが出てきますが、鉄人28号は手動操作のリモコンだったのに対し、ジャイアントロボは声紋認証機能が付いた腕時計型の音声認識操縦機に進化しました。
「ジャイアントロボ」こちらもざっくり言うと、「ジャイアントロボ」は元々地球征服を目論む宇宙人が破壊兵器として作った巨大ロボットですが、操縦システムは声紋登録式で、最初の起動時に声を登録した者の命令にしか従わない仕組みになってます。主人公の少年が最初に声を登録したので唯一の操縦者となり、悪の組織の怪獣や巨大ロボットと戦いを繰り広げるお話です。(鳥は最初に見たものを親と認識する、いわゆる刷り込み効果がありますが、これと同じか?ちょっと違うかも?ですが、ある意味ジャイアントロボは完全に騙しやすいカモです)
「ジャイアントロボ」で描かれる音声登録、音声認識といった技術は、現在ではもう完全に実用化されています。そう”Alexa””Hey Siri””OK google “といちいち洋風で呼びかけるあの小恥ずかしいAIアシスタント達です(こればっかりはなかなか馴染めない)。
「ジャイアントロボ」では、少年がロボに『飛べ!ジャイアントロボ』『ミサイルロケット発射!』といった指令を出しますが、時に『がんばれ!』、『負けるな!』といった精神論的指令も出します。(そんなこと言われても…、大体精神論でアドバイスをするコーチにいいコーチはいません。)
せっかくなので現代の音声認識装置であるIPhone のSiri に指令を出してみました(普段Siri は使っていませんが)。
『流星号応答せよ』→『反重力ベルトなら私も持っています!』(マジか…結構詳しいな)
『がんばれ!』→『ありがとうございます。充電された気がします』。う〜ん…ここはやっぱり『お前もがんばれ』とボケてほしかった…。
(こんなことしていて私は大丈夫か?少し不安になってきた…)