2021
7
Jan

SF映画

「猿の惑星」PLANET OF THE APES

記憶に残る衝撃的なラストシーンでした。「猿の惑星」シリーズの第1作「猿の惑星」(PLENET OF THE APES)から、宇宙飛行士のテイラー大佐、獣医のジーラ博士、ジーラ博士の甥のルシアス、科学庁長官ザイハス博士です。(考古学者のコーネリアスは都合により不在(つまり未収集)、代わりに「続・猿の惑星」からウルサス将軍、TVからウルコー将軍が登場しています。)

「猿の惑星」の公開は半世紀以上も前になる1968年。いつどこで観たのか記憶は定かではありませんが、まだ情報が少なかった当時、幸いにも何の予備知識も持たずに観ることができ、猿の特殊メイクとエンディングは今も鮮烈に覚えています。

有名な作品で多くの人がストーリーを知っていると思いますのでざっくり言うと、アメリカ人宇宙飛行士のテイラー大佐は宇宙船のトラブルで未知の惑星にたどり着きますが、そこは猿が言葉を話し、言葉が話せない人間を奴隷として支配する、人間と猿の立場が逆転した奇妙な世界です。テイラー大佐は、チンパンジーの考古学者コーネリアスと獣医ジーラ博士の手を借りて、まだ言葉が話せない人間の女性ノヴァとともに、何とかこの世界から脱出しようとしますが、やがて絶望的な真実を知ることに…。

「猿の惑星」(1968)は世界的に大ヒットし、その後続々とシリーズ化されます。『続・猿の惑星』(1970)『新・猿の惑星』(1971)『猿の惑星:征服』(1972)『最後の猿の惑星』(1973)の連続した旧シリーズ5作品と、第1作をリメイクした『PLANET OF THE APES/猿の惑星』(2001)、新シリーズの『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』(2011) 『猿の惑星:新世紀(ライジング)』(2014) 『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』(2017)の9作品となり、シリーズ作品としてはスターウォーズ並みです。(第2作以後は正直言って評価の分かれるところです。)

「猿の惑星」(1968)が公開された当時は、米ソ冷戦の時代で核戦争が危惧され、宇宙開発でも同様に熾烈な競争を繰り広げ(1969年アポロが月面着陸)、黒人差別の撤廃を求める公民権運動が盛んな時代です。これらの時代を背景に人間社会への辛辣な風刺が込められています。

現代はあらゆる情報が簡単に手に入り、時に知りたくなかった情報が一方的に送られることもあります。「猿の惑星」が後年DVDで発売された時は、あろうことかジャケットにラストシーンが描かれるという最大級のネタバレでした。何も知らずに映画を観て感動する楽しみは段々得難くなってきています。